2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730309
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
松尾 智晶 Prefectural University of Hiroshima, 総合教育センター, 准教授 (70468297)
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Keywords | 大学教育 / キャリア教育 / 人材育成論 / 組織間関係論 / 就職活動 |
Research Abstract |
就職活動を組織間協働と捉える本研究では、大学組織と企業組織が学生というリソースをやり取りするダイナミズムを捉えると同時に、その支援組織であるキャリアセンターの機能に関して初年度の研究調査を行った。具体的には1)新卒採用の満足度が高い企業に対するインタビュー調査、2)効果的なキャリア形成支援を実践しているキャリアセンターに対するインタビュー調査、3)学生対象のキャリアに関る情報提供及びディスカッション講座の実施、4)大学教員対象の就職活動支援に関る質問紙調査準備、6)組織間関係論及び産業組織心理学に関する文献調査、の6点である。意義としては、大学組織と企業組織は協業関係にある部分と対立構造関係にある部分が明らかとなったこと、キャリアセンターがBridging Organizationたる機能を求められつつある背景に、大学教育の在り方と企業の人材採用戦略の転換が契機として存在することが確認されたことが挙げられる。初年度の成果を基に、県立広島大学では『学生支援型キャリア教育プログラム』を構築すると同時に、大学と企業の双方にとってよりよい就職活動の在り方を学外に提言する予定である。 重要性としては、3月12日に通知された、「大学設置基準及び短期大学設置基準の一部を改正する省令の施行について」にともなう動きを大学が行う必然性が挙げられる。すなわち改正では、大学設置基準第四十条の二に加えられた一条に「大学は《中略》、学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図るために必要な能力を、教育課程の実施及び厚生補導を通じて培うことができるよう、大学内の組織間の有機的な連携を図り、適切な体制を整えるものとする。」とある。これはまさに、本研究で明らかにする大学の機能拡充のダイナミズムを決定づける方向性といえる。次年度の研究は、新たな大学組織の形成過程を、就職活動という現象を通して観察し、キャリアセンターがBridging Organizationたる役割を果たせる可能性があるかを論じたい。
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