2011 Fiscal Year Annual Research Report
会計基準のコンバージェンスに伴う課税所得計算のコンバージェンスとパラダイムシフト
Project/Area Number |
21730382
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 誠 日本大学, 商学部, 准教授 (80409044)
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Keywords | 国際財務報告基準 / CCCTB / EU |
Research Abstract |
過去,長きにわたり議論されている,欠損金の繰越控除を認めるべきかという問題と,合併の場合に被合併法人の有する欠損金を合併法人に引き継ぐべきかという問題は,会計基準と税務規定との間に横たわる問題として,密接に関連している。 判例分析や法解釈といった,現に存在する法規から検討するいわゆる帰納法によった場合,残念ながら問題の本質を解明することはできない。そこで,税務会計の理論における,資本不課税の原則および合致の原則に基づく演繹法により検討を進めた結果,まず,欠損金の繰越控除の妥当性が示された。 さらに,次の段階として,合併の場合における被合併法人の欠損金承継問題の検討を,アメリカの組織再編税制との比較を手がかりとしながら進め,欠損金承継の論拠が,株主段階での投資継続性および法人段階での事業継続性にあるとの結論を導出した。 しかし,日本とアメリカの理論には課税単位の観点からの本質的な相違が見られる。その結果アメリカでは損益の繰延べと欠損金の承継が一連のものとして取り扱われるのに対し,日本では両者は必ずしも一貫性をもって取り扱われないという問題が生じることを指摘した。 一方,EU域内においては,共通法人税(CCCTB)の導入が議論されている。そして,その課税所得の起点となりうるのが,IFRSにおける利益である。しかし,IFRSにおける利益概念は,実現主義の観点からは必ずしも課税所得に馴染むものとは言い難い。
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Research Products
(2 results)