2011 Fiscal Year Annual Research Report
サブカルチャー資本と若者の社交性についての計量社会学的研究
Project/Area Number |
21730402
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北田 暁大 東京大学, 大学院・情報学環, 准教授 (10313066)
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Keywords | 差異化の論理 / コミュニケーション / 趣味 / 若者文化 / サブカルチャー |
Research Abstract |
22年度に実施した練馬区調査(「若者文化とコミュニケーションについてのアンケート調査」実施時期2010年12月/想定した調査協力者1988年1月1日から1990年12月31日までに出生した練馬区在住の男女2000人/回収率32.6%)のデータクリーニングを実施するとともに、4月以降、研究室内で「趣味全体の構造」「ファッション」「小説読書」「社会意識」「調査表への回答の質的分析」の5領域を設定し、量的・質的な検討を行い、2011年の日本社会学会大会にて成果を公表した。 北田は、P.ブルデューの「差異化の論理」に内包される理論的・方法論的問題について、「全体性集約型趣味」の代表例としての音楽鑑賞と、「自律的趣味」の代表例としてのアニメをとりあげつつ、個別趣味の文化研究を進めるためには、「差異化の論理」と個別趣味の趣味としての特性(当該趣味を介したコミュニケーションの特性)との整合性をしっかりと検討したうえで、「はたして個別の趣味を分析するときtasteの差異化という論点はどれぐらいの意味を持つのか」、「差異化以外の社会関係の描き方はないのか」、といったことを理論的・経験的に考察する必要がある、と論じた。 そこで得られた知見をもとに、夏以降は、コミュニケーションの態勢と趣味選択、趣味関与の深度、および社会的コミットメント、ナショナリズムがどのような関係にあるのかを、宮台真司の「高度技術社会における若者の対人関係の変容」(91年科研課題)での人格類型論の再検討という理論的課題を念頭に置きつつ分析を行った。その結果・社会的コミットメント・ナショナリズム的意識に対して趣味(選択)が持つ効果の限定性と、コミュニケーション態勢の持つ重要性が確かめられた。「サブカルチャー文化資本」と「社交性」の関連性の理論的・経験的検討という研究課題はおおむね果たされたといえる。
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Research Products
(3 results)