2010 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティ・ガバナンスによる持続可能な都市形成に関する比較実証研究
Project/Area Number |
21730406
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
堂免 隆浩 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 講師 (80397059)
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Keywords | コミュニティ・ガバナンス / まちづくり協定 / 集合財 / 住民組織 |
Research Abstract |
本研究の問題意識は、集合財の管理に関するコミュニティ・ガバナンスの条件の解明である。そして、コミュニティ・ガバナンスとして、住民組織による住環境保全に着目する。2年計画の最終年にあたる2010年度は、住民自ら協定を締結し協定違反の行為をコントロールできる条件を明らかにした。まず、(1)住民組織と行政との協力関係を確認し、(2)住民組織による協定違反をコントロールできる条件を検討した。調査対象は、2009年度までの作業で確認した法律の裏付けを持たないルール184件の内、25件のルールが存在する町田市とした。町田市は、1990年代中頃まで、住民組織を全面的に支援し、協定に違反する行為に「建築許可」を与えなかった。しかし、1993年の行政手続法制定により行政による裁量が法的に制限されることとなり、町田市は、協定違反の行為でも、法律を遵守していれば建築許可を与えている。また、1998年の建築基準法改定で建築確認が民間開放されることとなり、指定確認検査機関も建築許可を出せることとなっている。そのため、現在、住民組織は、協定適用区域における全ての行為を計画段階で発見し、違反者を説得する必要があることが分かった。住民組織による取り組みの実効性向上の条件は以下の通りである。1)住民と行政の関係の視点では、住民組織の一部は、町田市および指定確認検査機関から行為に関する情報提供を計画段階で受けることで、その後の説得で計画変更を引き出せていることを確認した。そして、これらの住民組織が行政担当者との継続的な対話の機会を有していることが情報提供につながる傾向を明らかにした。2)住民属性の視点では、地域には、協定違反の制限に積極的な住民(新住民)・と消極的な住民(地主)が存在することを確認した。そして、新住民の比率が高いと計画の把握および違反に対する説得は活発であるのに対し、比率が低いと取り組みは停滞する傾向があることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)