2010 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティ・ガバナンスの社会的基盤に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
21730407
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西山 志保 立教大学, 社会学部, 准教授 (50402087)
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Keywords | コミュニティ / ガバナンス / 市民セクター / 社会的企業 / パートナーシップ |
Research Abstract |
まちづくりや都市再生を担う政府セクター、市場セクター、市民セクターの間のガバナンス(協治)の過程を国際比較研究によって分析し、その形態や役割分担を決める社会的基盤の分析を行うことにある。これによりコミュニティ再生の具体的な問題解決の手法を提示することを目指している。こうしたテーマを検討するために、市場経済の力を最大限に活用し、市民セクターも市場の力を利用して活動するアメリカ、福祉国家からの転換を模索し、市民セクターとのパートナーシップ政策を推進するイギリス、国家の役割が大きいと同時に市民セクターの役割も大きいという、対等なパートナーシップに基づく社会民主主義政策をとるオランダを取り上げ、国家の強力な中央集権体制のもとに市民セクターを育てる社会制度がなかなか育たない日本と比較し、それぞれのガバナンスを支える社会的基盤の解明を行っている。 今年度は、イギリス、オランダ、アメリカ、日本のコミュニティ再生を担う市民セクターの活動、および行政との関係について、関係者への聞き取り調査、行政資料、文書資料、先行研究を含む文献資料、Webコンテンツの収集・閲覧などの方法により調査を実施した。その結果、(1)イギリスおよびアメリカでは、まちづくりNPOを技術面、資金面、人材面で支える中間支援組織の存在が大きく、他団体とのネットワークづくりから事業評価までガバナンスに関しても多くの役割を果たしていること、(2)イギリスでは、政府の都市政策により地域諸主体の間のパートナーシップが補助金獲得の条件にされていることが多く、政策によるガバナンス推進がみられること、(3)オランダにおいてNPOセクターが大きな影響力を持っているのは、歴史的に形成されたポルダーシステムの存在があり、官民パートナーシップの蓄積があること、しかし1990年代以降の新自由主義によりNPOセクターも自立を迫られていることが明らかになった。日本についても高松丸亀商店街等で調査を進め、いくつかの成果をまとめている。
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Research Products
(4 results)