2011 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティ・ガバナンスの社会的基盤に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
21730407
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西山 志保 立教大学, 社会学部, 准教授 (50402087)
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Keywords | ガバナンス / コミュニティ / 市民セクター / 社会的企業 / パートナーシップ / アセットマネジメント |
Research Abstract |
まちづくりや都市再生を担う政府セクター、市場セクター、市民セクターの間のガバナンス(協治)の過程を国際比較研究によって分析し、その形態や役割分担を決める社会的基盤の分析を行うことにある。これによりコミュニティ再生の具体的な問題解決の手法を提示することを目指した。こうしたテーマを検討するために、市場経済の力を最大限に活用し、市民セクターも市場の力を利用して活動するアメリカ、福祉国家からの転換を模索し、市民セクターとのパートナーシップ政策を推進するイギリス、対等なパートナーシップに基づく社会民主主義政策をとるオランダを取り上げ、それぞれのガバナンスを支える社会的基盤の解明を行った。 今年度は、まとめの年度として、アメリカの工業都市デトロイトにおいて調査を行い、新自由主義下におけるコミュニティ・ガバナンスの実態について明らかにした。デトロイトは、産業構造の転換により主要産業が衰退し、都心部の衰退が著しく、治安も悪化していたが、現市長が「縮小都市政策」を打ち出し、創造産業を誘致し、デトロイト商工会議所との協働により再生を目指している。そこでは、ほとんど機能をなさなくなっているデトロイト市役所とは別に、民間の財団からの財政的支援、様々な形態の民間非営利組織(NPOなど)、地元の大学、商工会議所の間のパートナーシップが多様なレベルで形成されていることが明らかになった。公的機関の役割が最小限になり、不足するサービスを民間企業や民間非営利組織が補うという、まさに民間中心のガバナンスの形成がデトロイトの地域再生を促す契機になっていた。 これまでにもイギリス、オランダ、日本などで地域再生の調査を継続してきたが、これらの国際比較研究の成果を『分断社会と都市ガバナンス』(日本経済評論社)において、「都市政策の転換とガバナンスの転換」「正義都市アムステルダムの都市再生」という論文としてまとめを行った。
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Research Products
(3 results)