2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730416
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑畑 洋一郎 Kyushu University, 比較社会文化研究院, 特別研究者 (50532686)
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Keywords | ハンセン病 / 医療 / 社会学 |
Research Abstract |
本研究は、ハンセン病療養所から退所し「社会復帰」をしたハンセン病者実態を社会学的に考察することを目的とし、沖縄の退所者を事例として、彼/彼女らの生活史インタビュー調査によって明らかにするものである。 本年度は、社会学的考察を行うために明らかにすべき問いを索出するために、調査と先行研究の読み込みを基本として研究を進めた。 具体的には、沖縄に2回調査に行き、そこで計14名の退所者と、その家族・友人らにインタビュー調査を行った。また、調査から得られた問いを考察するための枠組みを得るための、社会学・社会福祉学領域の文献収集も行った。 調査によって、沖縄の退所者が、(1)いかにして退所者ネットワークを形成し、それを活用しているか、(2)退所者が50年近くに及ぶ退所生活を経験しながらも、今も一般には罹患経験を明かすことができないのはなぜか、(3)しかしながらその中で、特定の相手とは罹患経験を明かすことができる関係を築くことができている部分もあるのはなぜか、というこれまで明らかにされておらず、しかしながら明らかにされるべき3つの問いを発見した。この問いは、これまでに明らかにされていない点でハンセン病研究において重要な意義を持つし、また、特定の身体と病を持った人々が直面する特有の経験の社会的な背景を明らかにするもので、医療社会学的にも重要であると考えられる。 以上の問いを調査の中から索出し、また、問いを解く手がかりを得ながら調査を進め、2009年末には社会学と社会福祉学の知見を元にしながらの考察を開始した。また、その結果として、現在、特に(1)と(2)の点に関する論文2本を投稿中で、査読を受けている状況である。 次年度は、これらの問いを明らかにするため、また、考えられるべき新たな問いを発見するため、調査と考察を進めていき、ハンセン病者の「社会復帰」を体系的に捉えることとしたい。
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Research Products
(1 results)