2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730426
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 保行 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特任助教 (50454088)
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Keywords | ものづくり企業 / センス・メーキング / 台湾・上海・香港 / 長期勤続現地人従業員 / 中国人駐在員 / 意味の形成 |
Research Abstract |
本年度は、中国に進出した日系企業で働く現地人スタッフへの聞き取り調査を中心に、これまで実施してきた台湾・香港に進出した日系ものづくり企業で働く現地人スタッフへの聞き取り調査もあわせて実施し、各国・各地域の現地人スタッフを「長期勤続」という角度からみてきた。 その結果、台湾・香港・中国日系ものづくり企業で長期にわたって勤務する現地人スタッフは、日本人との協働体験を蓄積することで、日系ものづくり企業のやり方・制度、日本人の考え方を「理解(make sense)」していた。台湾人長期勤続者や参与観察と聞き取り調査をおこなった香港のある日系大手ものづくり企業で働く中核的なポジションに就いている長期勤続マネジャー、さらには日本の本社で採用になり中国へのビジネスの拡大の際に中国へと派遣されることになった「中国人駐在員」たちは、日本人--とりわけ入社したばかりのときに接触した初期の頃の日本人--との協働過程を通じて日系企業の組織空間を作り上げていた。しかし、その形式や深さは、日系企業の現地での操業年数やそれぞれの社会がもつコンテクストによって違いがみられた。たとえば、日系ものづくり企業が1970年代に盛んに進出した香港・台湾では、既に設立当初から勤続を重ねてきた現地人マネジャーが一定数存在しているが、他方で中国の場合には、中国への進出が1990年代に入ってからであったことや、日本の本社で採用になった中国人を立ち上げ屋として「中国人駐在員」として派遣していたことによって、中国に進出した日系ものづくり企業で働く中国人長期勤続マネジャーの特質は、香港・台湾のものとは大きく異なっており「中国人駐在員」という新しい形の駐在員が確認できた。
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Research Products
(5 results)