2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本型ポピュリズムの論理と心情――大都市無党派層の実証研究
Project/Area Number |
21730428
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
松谷 満 桐蔭横浜大学, スポーツ健康政策学部, 講師 (30398028)
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Keywords | 政治社会学 / ポピュリズム / 社会意識 / 無党派層 / 都市政治 |
Research Abstract |
ポスト55年体制期の都市政治において、無党派層を含め圧倒的支持を得た首長が相次いで誕生しているという状況に着目し、その支持構造をポピュリズムという観点から実証的に明らかにする、というのが本研究の目的であった。 具体的には、石原慎太郎東京都知事、橋下徹大阪府知事の支持構造を分析し、(1)価値意識において新保守主義的な支持構造が共通してあるのか、(2)価値意識以外の支持要因とは何か、(3)誰がどのような論理と心情において支持しているのか、といった点を昨年度に実施した調査データの分析をもとに明らかにした。 第一に、石原東京都知事と橋下大阪府知事の2009年時点での支持構造を比較すると、価値意識においてナショナリズムとネオリベラリズムという共通の支持要因があることがわかった。また、伝統保守層(≒自民支持層)ではないが、彼らを支持する人々はナショナリズムやネオリベラリズムにおいてちょうど中間的な立場の人が多いことがわかった。第二に、価値意識以外の支持要因として政治不信がやはり大きく影響していることがわかった。しかし一方で、社会不安や生活不安といったものはほとんど影響がないことがわかった。第三に、支持構造の多様性についてであるが、保守的な高齢層と新自由主義的な都市中上層という基本的な二つの層の存在は明らかとなったが、もう少し細分化された類型による説明が必要であろう。その点は今後の課題としたい。 本研究の意義は、ポピュリズムが単なる浮動層の支持によるのではなく、伝統保守層の支持にも相当程度支えられており、かつ漠然とした期待感といったものではなく、有権者の価値観によってかなりの程度説明されるということを実証的に示した点にあるといえる。
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Research Products
(7 results)