2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポピュラー文化の収集・保存・展示をめぐる記憶とナショナリズムに関する国際比較研究
Project/Area Number |
21730429
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
山中 千恵 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (90397779)
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Keywords | 記憶 / グローバル化 / ポピュラー文化 / ナショナリズム / 地域 / ミュージアム |
Research Abstract |
本研究は、消費・廃棄されるが、グローバルに流通するポピュラー・メディアを収集・保存・展示する博物館に着目し、ポピュラー文化の消滅と保存を境界付ける力学とはいかなるものであるのかを社会学的に探求するものである。これにあたり、(1)ポピュラー・メディアの博物館における収集・保存・展示実態の調査、(2)来館者の博物館体験や、博物館が存在することで生まれる実践を、ドキュメント分析、非構造化インタビュー調査および記述式質問紙調査の内容分析、トラッキング法などを用いてとらえようとしている。 23年度は、21年度、22年度に行った調査の追加、補足調査を行うとともに、これまでの成果を発表し、まとめた。特に、昨年度実施予定としたまんが関連施設来館者のポピュラー文化体験に関する調査を継続する形で発展させていくとともに、広島、宝塚も視野にいれ、これらの施設と京都国際マンガミュージアムとの比較可能性を探った。これに加え、フランスにおいて「メディアアート」を主に扱う「ラ・ゲテリリック:La Gaite Lyrique」の視察、韓国漫画映像振興院での追加インタビューを実施した。 この結果、ポピュラー文化のミュージアムを標榜する国内施設の多くが、ポピュラー文化の保存や再生という課題が、「地域振興」や「観光客誘致」あるいは、地域住民の満足度といった尺度によってはかられる傾向があり、ポピュラー文化の再生産や持続可能性、共有可能性についての議論を行うための土台が、そもそも不足していることが明らかになった。
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