2010 Fiscal Year Annual Research Report
放送制度と社会的コミュニケーションに関するマスメディアの規範理論の再構築
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21730436
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
林 怡蓉 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (10460990)
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Keywords | 日本 / 台湾 / 中国 / 香港 / 社会的コミュニケーション / テレビ / ツイッター / ラディカルな声の具現 |
Research Abstract |
22年度は昨年度の日本と台湾の討論系番組研究を継続しつつ,新たに中国(上海),香港の討論系番組の実態と放送制度,環境に関する調査を行った.(1)日本に関して言えば,生放送される討論系番組において一般人の声として従来の電話ファックス,Eメールという形で集める手法以外に,新たにネットサービス「ツイッター(Twitter)」を利用した方法が加わった.「朝まで生テレビ」を例に上げれば,番組のツイッターアカウントに対して視聴者,人びとは140字で意見・感想・質問を書き,テレビ画面下にそれを表示する.ツイッターのコメントに番組討論者,司会が言及・返事したりして,議題の進行方向に影響を及ぼすケースもまれに見られた.しかし表示される意見は依然として番組製作側の取捨選択が入っている.(2)台湾での変化を述べれば,議題を詳しく紹介したうえで,賛成/反対の討論者をひとまず明確にし両者間討論をもってから,コールイン視聴者がコメントするケースが確認でき,番組製作側にある議論の高度化への狙いがあるように思われた.この変化はメディアに対する人びとの要請が変容しつつあることを意味する.日本と台湾にみられた変化とその役割,可能性はさらなる調査と検討が必要である.(3)昨年度の研究で得られた知見-テレビを媒介に表現される主体的声の有無によって人びとの政治との距離感,参与感の差に影響-で言えば,中国(上海)及び香港の実態は日本の現状に近く台湾の特殊性が際立った.それは政治体制による影響か否かはこれから分析を行う必要がある.ただし上海テレビ局が製作した「東方直播室」という広義な政治議題を扱う視聴者参加型討論番組は,台湾での人びとの声の具現に関する実践方法とは異なるが,しかしなお人びとのラディカルな声が表現され,その実態と中国で(に限らず)意味する政治的な可能性とは何か,本研究課題で明らかにすべき要素を含んでおり追調査で検討していく.
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Research Products
(2 results)