2012 Fiscal Year Annual Research Report
放送制度と社会的コミュニケーションに関するマスメディアの規範理論の再構築
Project/Area Number |
21730436
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
林 怡蓉 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (10460990)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 放送制度 / 社会的コミュニケーション / マスメディアの規範理論 / デリベラディヴ・デモクラシー / 批判的社会理論 |
Research Abstract |
以下は本研究課題が掲げた「放送制度と社会的コミュニケーションに関するマスメディアの規範理論の再構築」するために打ち立てた3つの視点から述べたい. 1.放送制度とそれをめぐる価値観研究:台湾,日本を中心にしながら,アメリカ,イギリス,中国,香港との比較研究からは,民主主義社会は従来の自由の捉え方の2タイプ(=国家からの自由/国家による自由)のどちらかを基にしながら、制度が構築されるが,しかし実践上では表現者を含めて放送制度に影響を与えるのが「マスメディア従事者=自らからの眼差し/社会からの眼差し/国家からの眼差し」のどれか,もしくは複合であるというのがわかった. 2.放送を媒介した社会的コミュニケーションの実態とそれがもたらす可能性に関する調査:上述したこととも関連するが,民主主義社会ではマスメディア従事者の表現の自由を重要視し,外部からの影響をできる限り受けないことが自立・自律性の実践であると考えられる.しかし実践において自らからの眼差しを必要以上に気にしすぎるがために,表現における自由がなくなり,一般の人々が放送を媒介にしての表現を制約してしまうケースがしばしば見受けられた.この意味において台湾社会のケースでみられた放送を媒介にした社会的コミュニケーションの実態と可能性は特殊事例であると同時に,一般化する際の条件を明らかにしたと考えられる. 3.批判的社会理論と政治思想論の検討:検討の結果,社会的規範理論における「複数性」が本課題にとって大変重要な視点であることがわかった.この視点からみた場合,従来マスメディアが規範とする客観性と多元性というものはマスメディア側の観点からみた客観性と多元性にすぎなく,リベラリズムに基づくリベラル・デモクラシーが重視する近代的価値である「理性」を基準としたものであることを明らかにした. これらの知見をもとに研究成果をまとめていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)