2009 Fiscal Year Annual Research Report
Perspective-Takingの基盤としてのワーキングメモリキャパシティ
Project/Area Number |
21730495
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
吉田 綾乃 Tohoku Fukushi University, 総合福祉学部, 講師 (10367576)
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Keywords | 社会系心理学 / 社会的認知 / ワーキングメモリ / 視点取得 |
Research Abstract |
Perspective-Taking(視点取得;PT)は、他者の内的状況を想像・理解することに関わる認識作用である。PTにおいて"その人物の気持ち"を想像する場合には、人物への共感が生じる(意識的効果)が、"自分がその人物の状況におかれたらどのように感じるか"を想像する場合には、共感とともに否定的感情が生起する(無意識的効果)ことが報告されている。本研究では、Working Memory Capacity (WMC)の個人差がPTの意識的・無意識的効果に及ぼす影響について検討した。女子大学生60名を対象にWMC2(高/低)×PT3(人物の視点/自己の視点/統制)の2要因計画による実験を実施した。本年度得た成果は以下の通りである。1.WMCの個人差と視点の違いは、人物への共感的感情(かわいそうだと思う、など)の程度に影響を及ぼさなかった。2.感情的動揺(不安だ、どきどきしている、など)は人物の視点を取るよりも自己の視点を取った場合に顕著であった。3.WMCが豊富な者においては、視点の違いは感情的動揺の程度に影響を及ぼさないが、WMCが乏しい者は、人物の視点を取るよりも自己の視点を取った場合に感情的動揺が顕著であった。これらの結果から、WMCの個人差はPTの意識的効果よりも無意識的効果に影響を及ぼしていることが明らかとなった。また、WMCが乏しい人は豊富な人よりも、PTにおいて自動的な自己概念の活性化による自己中心的な動機が生起しやすい可能性が示唆された。
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