2010 Fiscal Year Annual Research Report
将来予測における自己知識の役割と時間的距離による自己知識適用の調整効果
Project/Area Number |
21730498
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
藤島 喜嗣 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (80349125)
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Keywords | 社会系心理学 |
Research Abstract |
本年度は、次の二点について検討した。 第一に、前年度検討が不十分だった、自伝的記憶が活性化された場合にその記憶内容が将来予測に影響を及ぼすか、その影響が時間的距離によって調整されるかについて検討した。研究1では、前年度実施した実験手続きを改善し、実験を行った。事前に予測ターゲットとなる事象の時間的距離感をたずね、肯定的もしくは否定的な自己特性を6つまで、もしくは肯定的もしくは否定的な自伝的記憶を1つ想起させた後に、就職活動に対する予測を求めた。平成22年度実施予定だった時間的距離を実際に操作した実験は、手続き上改善の余地があったため、手続きの立案にとどめ、平成23年度に実施することとした。 第二に、自己概念が活性化した場合にその内容が将来予測に影響をおよぼすか、またその効果は時間的距離が「遠い」場合に限定されるかを検討した。研究2では、評価条件付けの手続きを用い、自己と肯定的特性の連合を強める操作を行い、その後、遠い将来の予測を行わせた。研究3では、文章構成課題を用い誠実性に関する自己概念を活性化し、予測事象の時間的距離を操作した上で課題に対する問題解決シナリオを作成させた。研究4では、特性形容詞への回答順序を変えることで、誠実性に関する自己概念を活性化し、予測事象の時間的距離を操作した上で課題に対する問題解決シナリオを作成させた。 また、前年度実施した研究を、日本グループ・ダイナミックス学会、日本社会心理学会、日本心理学会にて学会発表を行った。一部のデータについては論文として刊行した。これらの研究は、将来予測における自己知識の影響がその構成によって異なり、時間的距離によって調整されることを示唆した点で重要である。自己研究、社会的判断研究に対する寄与が期待される。
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Research Products
(3 results)