2011 Fiscal Year Annual Research Report
将来予測における自己知識の役割と時間的距離による自己知識適用の調整効果
Project/Area Number |
21730498
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
藤島 喜嗣 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (80349125)
|
Keywords | 社会系心理学 |
Research Abstract |
本年度は次の3点について検討した。第一に、自己概念が活性化した場合にその内容が将来予測に影響を及ぼすか、またその効果は時間的距離が遠い場合に限定されるかを検討した。研究1として、評価条件づけパラダイムを用い、潜在自尊心を一時的に高める操作を行った実験を実施した。研究2として、将来予測の前もしくは後で、形容詞に対する自己評定により自己概念を閾上プライミングした実験を実施した。これは前年度実験の追加データとなるものである。第二に、将来予測における時間的距離の調整効果が自己知識利用の偏重によるものかを検討した。研究3として、利用可能な自己概念と自伝的記憶を測定した上で、感情価が異なる自伝的記憶と自己概念を同時に活性化し、時間的距離の異なる課題遂行予測に及ぼす影響する実験を実施した。第三に、活性化した自伝的記憶の記憶内容が将来予測における理想シナリオ作成に及ぼす影響を検討した。研究4として、真面目さが示された自伝的記憶、優しさが示された自伝的記憶を活性化させた後に、テスト勉強時間ならびにレポート作成時間の予測を求めた。この研究4では、残念ながら実施上の都合により実際の時間的距離の操作が行えず、時間的距離感の測定にとどまった。また、前年度実施した研究を日本グループ・ダイナミックス学会、日本社会心理学会、日本心理学会にて学会発表した。一部のデータについては論文として刊行した。 これらの研究は、将来予測における自己知識の影響がその構成によって異なり、時間的距離によって調整されることを示唆した点で重要である。さらに、研究4は自伝的記憶の内容と将来予測のマッチングについて検討することで、自己知識が将来予測に及ぼす影響のメカニズムを明らかにするようなデータを提供するに至っている。これらの研究データは、自己研究、社会的判断研究に対して寄与すると期待できる。
|
Research Products
(5 results)