2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730500
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
谷田 林士 長野大学, 社会福祉学部, 講師 (50534583)
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Keywords | 共感性 / 利他行動 / 眼球運動 / 他者理解 / 囚人のジレンマ |
Research Abstract |
本研究の目的は、認知的共感を用いた行動予測、すなわち他者の置かれた状況に身をおくことで生起する自身の感情を相手に投射するという「シミュレーション」を用いた行動予測が、集団内に特化した適応課題の解決に役立つ可能性を検討することにある。最新の神経科学による研究では、他者の痛みに反応するような情動的共感性の神経基盤が明らかにされつつあるが、共感性のもう一つの側面である認知的共感性に関しては、他者理解を可能とする心理メカニズムの本質をめぐり、議論が継続している状態といえる。本研究は、行動予測に関する「シミュレーション理論」と「理論理論」という哲学で用いられている区別を導入することで、相手と同じ感情を喚起する想像的共感と、視点取得のそれぞれが、異なる社会的適応課題の解決に役立つことを明らかにすることを目的としている。平成22年度は、クラスメートなど既知の他者の行動について正確に予測する程度を測定する実験を行い、合せて他のクラスメートからその人物の社会的スキルが評定される他者評定実験を実施した。その結果、面識のある相手に対する行動予測の正確さと、認知的共感性の関連は見られなかったことから、既知相手に対する予測に関しては「シミュレーション」を用いていない可能性が示された。また、この予測の正確さの程度は他者から評定される社会的スキルとの相関も見られないため、他者から評価を受けることとは独立した種類の行動予測であった。最終年度の平成23年の実験では、予測すべき行動の種類を操作した実験を実施し、合わせて他者志向的情動反応との関連を検討する予定である。これらの実験では「シミュレーション」を通じて相手の感情を取り込む程度を測定することを目的とするため、他者の表情から行動を予測する課題を実施し、表情の情報探索過程を眼球運動測定装置を用いて測定する予定である。
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