2009 Fiscal Year Annual Research Report
音声から意味への言語学習方略の発達過程に関する研究
Project/Area Number |
21730526
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
梶川 祥世 Tamagawa University, リベラルアーツ学部, 助教 (70384724)
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Keywords | 対乳幼児音声 / 言語獲得 / 言語音声認知 / 擬音語 / 音響特徴 |
Research Abstract |
本研究は、乳幼児期の言語獲得過程において、周囲からの言語音声やその他の情報の入力が、言語音声と意味の学習にどのように影響を及ぼすのか、乳幼児の発達に伴った学習方略の変化との関係を明らかにすることを目的としている。本年度は0~2歳を対象として、母親からの語りかけ(対乳幼児音声)に含まれる意味推測を促す様々な手がかりと、子どもの言語獲得との関わりを分析した。 まず初期獲得語彙に多く含まれる擬音語について、特にモノの大小を有声・無声の対立によって表す擬音語ペア(e.g.,ころころ-ごろごろ)に焦点を当て、これらの語を発音する際の母親の音声に、子どもの理解を助ける音響的手がかりが含まれているか否かを検討した。14名の母親に、擬音語を含む文章を子どもに向けて朗読してもらい、各擬音語の平均・最大・最小基本周波数、時間長、音圧を測定したところ、大きいモノ(の様子)を表す擬音語は小さいモノを表す擬音語よりも、基本周波数が低く、音圧が大きく発音されることが示された。またこの音響特徴は、成人に向けて朗読した場合よりも子どもに対する場合のほうがより強調されており、言語能力が未発達である子どもの意味理解を促進している可能性が考えられた。 さらに幼児の意味獲得における手がかりとして、発話中の助詞に着目し、1歳児の音声認知実験を行った。対象児に「新奇語A+格助詞『が』」を含む文を繰り返して呈示し馴化させた後、テストとして「A+『を』/『は』」を含む文(名詞テスト)、「A+『らない』/『って』」を含む文(動詞テスト)を呈示し、それぞれ聴取時間を測定した。この結果、幼児は動詞テストにおいて名詞テストよりも長く聴取し、助詞を手がかりとして新奇語を切り出し、直後に助詞がつくことのできる語というレベルでの品詞カテゴリーを形成していることが示された。
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