2011 Fiscal Year Annual Research Report
音声から意味への言語学習方略の発達過程に関する研究
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21730526
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
梶川 祥世 玉川大学, リベラルアーツ学部, 准教授 (70384724)
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Keywords | 言語発達 / 音響特徴 / 縦断的研究 / 擬音語・擬態語 / 語意推測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、乳幼児期の言語知覚認知が「音声」の要素が主の処理から、「語意」の要素を伴う処理へと発達的変化を遂げるなかで、テレビなどメディアも含めた周囲からの情報が言語獲得を促進するしくみについて、音声と意味をつなぐ学習方略という観点から検討することである。本年度は、(1)音楽聴取経験が音声への反応にもたらす影響(0歳児)、(2)母親の発話特徴と子の言語発達の縦断的研究(0~1歳児)、(3)語意推測における音象徴性および入力音声の音響特徴の関わり(0~1歳児)の3つの研究を特に推進した。(1)音楽聴取経験が音声への反応にもたらす影響に関して、2名の出生前~3ヶ月齢の縦断調査を実施した。この結果、音声への反応には個人差もあるが、出生前からの聴取経験も音声の持つ鎮静効果に関わっていることが示唆された。(2)母親の発話特徴と子の言語発達の関係について、0~1歳半の期間に3ヶ月毎に計20名のデータ収集を行い、母親と子どもとの音声相互作用を分析した。そして子どもの言語発達と音声模倣を促したり新しい語を習得させようとしたりする母親からの働きかけに関して、月齢間の縦断比較および個人間の比較を行った。ここから、母親発話の音響特徴は子の発達に伴い、高さや速度が変化すること、また日本語の特徴である擬音語-擬態語については、特に動作や物の様子を表現するために使用する母親が多く、子による語の理解を促進していることが示された。(3)語意推測における音象徴性に関する研究では、指示対象の大きさと音高のマッチング能力は10ヶ月齢では発達しておらず、大きさと音高の関連づけは学習によるものであると推測されること、この能力は親の発話音声の音響特徴を学習手がかりの一つとして、2~3歳頃に発達することが示された。
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