2009 Fiscal Year Annual Research Report
感情発達と関係性に注目したアレキシサイミア形成要因に関する実証的研究
Project/Area Number |
21730572
|
Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
馬場 天信 Otemon Gakuin University, 追手門学院大学・心理学部, 准教授 (00388216)
|
Keywords | アレキシサイミア / Alexithymia / 愛着スタイル / 母子関係 / 情緒応答性 / パーソナリティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、親子関係や愛着関係、情緒応答性に注目し、量的・質的研究の両面からAlexihtymiaの形成要因について明らかにすることである。研究計画における当該年度の研究では、愛着関係における欧米の先行研究と本邦でのデータとの比較検討、過去の母子関係とAlexithymiaとの関連性の検討が目的であった。まず、大学生を対象に質問紙調査を行った。調査実施期間は2009年12月~2010年2月であり、最終的に177名(男性58名、女性119名、平均年齢19.89歳)から調査協力が得られた。調査は、(1)Toronto Alexithymia Scale-20(小牧他,2003)、(2)成人愛着スタイル尺度ECR-GO(中尾・加藤,2004)、(3)一般他者成人愛着タイプ尺度RQ-GO(加藤,1999)、(4)就学前母子関係尺度(酒井,2001)を用いた(その他、強迫パーソナリティ尺度と消化器系症状尺度も新たに加えた)。解析の結果、Alexithymia傾向は「見捨てられ不安」や「親密性回避」と有意な相関が認められ、更に恐れ型愛着タイプとの関連性が高いことが明らかになった。この結果は、Wearden et al(2003, 2005)の先行研究と一致しており、今後の継続調査において文化差の要因は考慮する必要がないことが示唆された。また、就学前の母子関係に関する尺度との関係では、「拒否的母子関係」と有意な正の相関が認められ、項目レベルでは「いつか見捨てられるのではないかと思った」「助けて欲しいときに、母親は助けてくれなかった」「私が泣いても、母親は関心がなかった」「私は同じことをしていても、怒られたり、怒られなかったりした」といった、母親の無関心や情緒的反応の一貫性のなさと関連性が高いことが明らかになり、次年度以降のインタビュー調査でのAlexitLymia形成要因として注目すべき点を顕在化させたという点で研究意義が高いと言える。
|