2010 Fiscal Year Annual Research Report
感情発達と関係性に注目したアレキシサイミア形成要因に関する実証的研究
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21730572
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
馬場 天信 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (00388216)
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Keywords | アレキシサイミア / Alexithymia / 愛着スタイル / 母子関係 / 情緒応答性 / パーソナリティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、親子関係や愛着関係、情緒応答性に注目し、量的・質的研究の両面からAlexihtymiaの形成要因について明らかにすることであった。本年度は、前年度に行った調査研究(愛着スタイル、過去の母子関係とAlexithymiaとの関連性について)の男女比の問題を改善すべく男性被調査者26名を追加した調査を実施した。調査実施期間は2010年12月~2011年2月であり、前年度の調査データとあわせて最終的に203名(男性84名、女性119名)から調査協力が得られた。調査内容は、(1)Toronto Alexithymia Scale-20(小牧他,2003)、(2)成人愛着スタイル尺度ECR-GO(中尾・加藤,2004)、(3)一般他者成人愛着タイプ尺度RQ-GO(加藤,1999)、(4)就学前母子関係尺度(酒井,2001)を用いた。解析の結果については前年度の解析結果と大きな変動はなく、Alexithymia傾向は「見捨てられ不安」や「親密性回避」と有意な相関が認められ、恐れ型愛着タイプと関連性が高いことが示された。似上の結果については論文化を前提に詳細な解析を行っている。また、予算の関係上、本年度の実施を見送った情緒応答性に関するI Feel Picturesを用いた中規模調査については実施に必要となる調査形式や調査方法をこの調査目的にあうよう改訂し実施準備が完了した。 一方、本年度は次年度実施予定の構造化面接インタビュー実施のために必要不可欠な愛着スタイルインタビュー(Attachment Style Interviews:ASI-J)の実施方法習得のため、大学生6名に対して構造面接を実施し、ASI-Jに基づく愛着スタイル評定練習を行い、日本でASI実施認定を行っている研究者へ数回スーパーヴィジョンを受けに行った。インタビュー方法が構造化されているが、その質問の仕方や評定の信頼性を高めるためにはどのような工夫が必要となるかが明確になったが、研究での実施許可が得られるまでにはまだ数ケースの評定練習とスーパーヴィジョンが必要となる。一見地味にみえる構造化面接方法のトレーニングをしっかり受けることは手間がかかるためAlexithymiaの研究報告が少ない要因の一つであるが、質的側面からAlexithymiaの特徴を明らかにするという次年度の研究目的の下地をつくるという意味で本年度の研究実績は非常に意義があると言える。
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Research Products
(2 results)