2011 Fiscal Year Annual Research Report
感情発達と関係性に注目したアレキシサイミア形成要因に関する実証的研究
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21730572
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
馬場 天信 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (00388216)
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Keywords | アレキシサイミア / Alexithymia / 愛着スタイル / 母子関係 / 情緒応答性 / パーソナリティ / I FEELE Pictures / 感情認知 |
Research Abstract |
本研究の目的は、愛着関係や情緒応答性に注目しAlexihtymiaの形成要因について明らかにすることであった。本年度は、情緒応答性を検討するI FEELE Pictures実施と成人愛着スタイルインタビューを実施する予定であった。情緒応答性に関する調査は、197名(男性59名、女性138名)に乳幼児写真ツールに対する評定実験を行った。I FEELE Picturesの日本版30枚全部を使用し、写真ごとに、最もあらわしていると思われる感情の言葉を記述させ、その後に(1)快-不快評定、(2)感情強度、(3)対象希求度、(4)感情を表す単語の詳しい説明を行わせた。なお、全評定終了後改めて11の感情カテゴリーを提示し確認評定させた。また、Toronto Alexithymia Scale-20も実施した。アレキシサイミア群69名と非アレキシサイミア群127名に分割し、t検定を行った。結果、欲求がP反応となる6番の対象希求度、眠気がP反応となる25番の感情強度、喜びがP反応となる27番の感情強度、疲れがP反応となる30番の対象希求度においてp<.05で有意差が認められた。すなわち、Alex傾向者は一部の刺激に対する対象希求度を低く見積もり、弱い感情価については覚醒度を高く感じたり、表出度の高い感情へ低い覚醒度を感じるなど強度の評定一致が得にくいものがあることが明らかとなった。感情カテゴリーは、関係性評定と日本語版標準の2種類のカテゴリー評定でコード化の最中であり、集計を待って情緒反応性における特徴を多面的に言及できると思われる。情緒応答性に注目した調査はアレキシサイミア研究にはなく、200名近いデータが得られたことは、情緒応答性の観点からみた特徴を記述することができるという意味で非常に貴重なデータであると言える。成人愛着スタイルインタビューに関しては、実施認定許可を得るために学生12名に予備的に実施しSVを複数回受け実施認定許可を得ることができた。最終年度にインタビューを実施し、関係性の側面からその特徴を正確に評定できる準備が整ったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成人愛着スタイルインタビューの実施は本年度を予定していたが、複数回のSVを受け評定チェックをうけその許可が得られるまでにかなり時間を要した。2012年11月に成人愛着スタイルインタビューの認定協会よりインタビュー実施予定者である臨床心理士1名がようやく実施認定を受けることができ、H24年度の研究予定で遅れを取り戻すことができる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、アレキシサイミア群と非アレキシサイミア群における成人愛着スタイルの特徴を多面的に検討し、その特徴を対人パターンのあり方として記述していくことが必要と思われる。インタビューの評定は本調査インタビュー実施者(認定者)の評定について、ASI-J所属の評価者が全て評定チェックを行うための、そのための逐語記録作成や評定確認にやや時間を要することが推測され、その時間を見越して春学期中にインタビューを終える予定で検討している。また関係性の特徴を多面的に言及記述する必要があるため、I FEELE Picturesで明らかとなった結果と結びつけて多面的にアレキシサイミア傾向者の関係性や感情発達の特徴を検討する予定である。
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