2010 Fiscal Year Annual Research Report
偶発的契機によるキャリア形成とセレンディピティについての教育人間学的研究
Project/Area Number |
21730640
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
走井 洋一 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (30347843)
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Keywords | 教育学 / キャリア教育 / セレンディピティ / キャリア形成 / 教育人間学 |
Research Abstract |
本研究は,キャリア形成における偶発的契機を受容する能力を「セレンディピティ」と位置づけ,その内実を明らかにするとともに,偶発的契機を受容することで生じる非連続的なプロセスを含むキャリア形成の全体像を解明することを目的としている。平成22年度は,昨年度までで明らかになってきたキャリア形成支援における協同性の問題,つまり,キャリア形成上の偶発的契機の受容が個人に変容を強いるものではなく社会的関係の組み直しにあること,また,個人に内在する能力として位置づけられがちである「セレンディピティ」も協同性において形成される能力であることを理論化するために,キャリア形成およびキャリア形成支援にとどまらない広範囲の人間形成に関する知見を整理検討するとともに,若者職業的自立支援推進事業が終了したため新たに緊急人材育成・就職支援基金を利用した訓練の実施を目指していた「若者自立塾」への調査や,「しんじゅく若者サポートステーション」での継続的な調査などを実施し,その成果を各種学会において発表したところである。同時にこれらの調査研究を通じて,こうした協同性が間接体験を基盤として生起していることが明らかになってきた。つまり,社会的自立へ同けた支援においてはインターンシップや即効性のある技能の習得など直接体験や直接的に効果を発揮する活動の重要性が指摘されながらも,実際に支援の現場では自立への支援として擬似的な体験や直接的には役立たないように思われる活動が有効であると指摘されていた。これらの擬似的体験・活動がいかにして自立へと結節するかについてはまだ判然としていないが,少なくとも直接的な活動を重視する傾向をもっているキャリア形成支援の現状に対して,こうした観点は重要な意義があるといえる。
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Research Products
(3 results)