2011 Fiscal Year Annual Research Report
偶発的契機によるキャリア形成とセレンディピティについての教育人間学的研究
Project/Area Number |
21730640
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
走井 洋一 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (30347843)
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Keywords | 教育学 / 教育哲学 / 教育人間学 / キャリア教育 / キャリア形成支援 / 若者支援 / セレンディピティ |
Research Abstract |
本研究は,キャリア形成における偶発的契機を受容する能力を「セレンディピティ」と位置づけ,その内実を明らかにするとともに,偶発的契機を受容することで生じる非連続的なプロセスを含むキャリア形成の全体像を解明することを目的としている。最終年度にあたる平成23年度は,昨年度までに明らかになってきたキャリア形成における協同性の問題,つまり,キャリア形成上の偶発的契機の受容が個人の変容を強いるものではなく,自己と他者とのリアルな関係をもとにした自己認識の変容のプロセスであることを解明するために,キャリア形成およびキャリア形成支援にとどまらない広範囲の人間形成に関する知見を整理検討するとともに,活動理論の最新の知見を獲得するためのISCARへの参加,「しんじゅく若者サポートステーション」での継続的な調査などを実施し,これらの成果を各種学会において発表したところである。キャリア形成上の偶発的契機は誰しもに生じうるものであるが,その克服のプロセスが個人化されることの危険性がここでは示唆されている。つまり,キャリア形成のプロセスは,自己と他者とのリアルな関係をもとにした自己認識の変容プロセスであるがゆえに個人化されたものとして受け取られてしまいがちであるが,その内実には自己認識を支える人的・物的資源が存在しており,それらの資源を通じて自己認識の変容プロセスが生起していることを明らかにした。このことは,偶発的契機の克服に向けた支援においてこれらの資源を補充・活用することが必要になること,さらにこうした自己認識が自己と他者とのリアルな関係を前提としていることから,思考のレベルではなく,身体のレベルでの支援が必要であることを示しており,個人の能力に還元されがちなこれまでのキャリア形成支援の現場での支援のあり方に対して意義があるものといえる。
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Research Products
(4 results)