2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730651
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Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
山本 経天 至学館大学, 人文学部, 助教 (40410641)
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Keywords | 日本語教育史 / 岡崎兼吉 / 陳信徳 / 徐祖正 / 北京大学 / 大連日語専門学校 / 現代日中関係史 |
Research Abstract |
今年度は主に4つの作業を行った。 1つは、12月に香港で開かれた第2回東アジア教師教育研究国際大会で「岡崎兼吉一新中国北京大学の日本語教育とともに歩んだ「老専家」」という論題で発表した。なお、原稿は全国専門誌に投稿中である。 2つは、陳信徳に関する研究論文がほぼ完成しており、現在推敲中である。陳は新中国において最初に日本語文法を研究した人物であった。陳の研究を通じて戦前台湾植民地出身の日本語習得者の歩みを明らかにしたと同時に日中国交断絶期における日本語研究の到達点を解明できた。 3つは、中国東北地方の日本語教育機関、とりわけ大連日語専科学校(大連外国語学院の前身)に関する史料を調査した。この学校は建国15年を経て中国の対日政策の必要から生まれたもので、日本共産党の援助により、20数名の日本人教師が日本語教育に携わった。この研究は、これまで注目されていない中日国交断絶期における中国と日本との密かな交流を解明し、中目国交回復の基盤となる日本語教育の実態に迫ることができると考える。 以上の3つは、「研究実施計画」に示した内容である。今年度はこれに加え、4つ目として、陳信徳の研究を進める中で、元北京大学教授孫宗光の助言を得、これまで知られていなかった徐祖正の略歴が多少分かるようになった。徐は中華民国期の官費留日学生で、東京同文書院や東京高等師範学校を卒業して帰国した。日本自然主義文学者の代表、島崎藤村を中国に紹介した。中日国交断絶期における唯一の日本語・日本文学研究の教授であった。徐の研究を通じて戦前日本留学というルートで日本語を習得した徐の歩みを明らかにすることができると考える。
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Research Products
(1 results)