2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730651
|
Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
山本 経天 至学館大学, 人文学部, 助教 (40410641)
|
Keywords | 日本語教育史 / 徐祖正 / 陳信徳 / 日中関係史 / 大連日語専科学校 / 北京大学 |
Research Abstract |
今年度は主に3つの作業を行った。 1つは、10月に京都大学で開かれた教育史学会第55回大会で「中日国交断絶期における唯一の日本語・日本文学教授-徐祖正」という論題で発表した。なお、原稿は『日本経済大学論集』第42巻に投稿中である。 2つは、新中国、とりわけ文化大革命前の日本語研究の権威である陳信徳に関する研究を完成させた。これから公表する。 3つは、大連日語専科学校の日本語教師の全体像を明らかにした。具体的には次の4点がある。 1点目は、国交回復前の1964年から1965年の2年間、日本から24名の日本語教師が招聘された。大連日語専科学校は1964年に中国政府の対日工作、とりわけ対日貿易を担う実務人材の養成のために設立された。当時、中国政府が持っていた日本との「外交ルート」は両国共産党レベルのルートであった。24名の日本人教師はこの外交ルートによる要請に応じて開校まもない10月から順次赴任した。 2点目は、24名の日本人教師の年齢層は20代から40代で、家族を連れて中国へ渡った者が多かった。元々夫婦共に日本語教師として招聘された者、また、夫に伴い渡中し、後に現地で日本語教師として採用された者も6名いた。 3点目は、24名の渡中前の職業を分析すると、小・中学校教師が最も多く、19名であった。その他、詩人1名、劇団員1名、会社員1名、大学新卒者1名、編集者1名であった。また、現地採用の6名は教師2名、主婦2名、会社員2名であった。 4点目は、24名の学歴を調べたところ、東京大学卒2名を含み国立大学卒は16名、早稲田大学卒3名、立教大学卒2名、師範学校卒2名、高等女学校卒1名であった。日本社会のエリートであることが窺える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」および「本年度の研究実施計画」で設定した3つの作業をほぼ完成させたが、2つ目の作業に記した成果の公表はやや遅れている。遅れの原因は考察に未熟な部分があり、手直しの時間がかなりかかったためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の期間は残り後1年である。この1年は、まず大連日語専科学校における日本語教育の全体像を明らかにする。次は北京対外貿易専科学校における日本語教育の全容について調査研究を行う。最後に4年間の研究成果をまとめる。 これまでの作業を通じて、本研究の重要性は益々明らかになってきた。本研究期間を終えても長期的にこの研究に従事するつもりであり、2015年度くらいを目処に研究成果公開促進費を申請し、学術図書として公開するつもりである。
|
Research Products
(1 results)