2009 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的torsion Galois表現と分岐理論
Project/Area Number |
21740023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 新 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 助教 (10451436)
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Keywords | 分岐 / ガロア表現 / 局所体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、局所体上の幾何学的torsion Galois表現の詳細構造を分析する新しい手法の構築である。本年度は主に、混標数局所体K上のsemi-stableなp進表現に伴うmod p表現の半単純化に現れる従順指標の統制手法について考察した。 そのためには、semi-stableなp進表現Vに伴うKisin加群Mから、何らかの局所体の整数環上の良い有限平坦完全交差代数を構成すること、そしてそこに何らかの群構造を入れること、の二点が必要だった。今年度の研究では、混標数局所体Kから等標数局所体に移行することでこの二点を同時に解決できた。具体的には、等標数局所体の整数環上に、Mに対して定まる有限完全交差群スキームHを構成し、Hの分岐の値とVの従順指標のレベルが完全に一致することを証明した。当初の証明は管状近傍のreductionを調べるものだったが、今年度7月に参加したフランス・ロスコフでの研究集会で行った議論を参考にして簡略化できた。この結果は本研究の前半部分として計画していた通りのものであり、Galois表現の半単純化の新しい幾何学的意味付けを与えている。さらに、MがKの整数環上のBarsotti-Tate群Gと対応している場合、そのp-torsion部分G[p]とHとは分岐フィルトレーションがノルム体関手を通して同型になること、つまりこの場合には等標数側と混標数側で分岐現象が一致すること、も分かった。このような、等標数側と混標数側の分岐の一致(ないし類似)は、研究の次の段階である(Barsotti-Tateと限らない)crystalline表現の分岐のより詳細な解析にとって重要であると考えており、引き続き研究を行っている。 また、crystalline表現に伴うmod p表現の分岐の評価についても考察し、Kの整数環上に、与えられたmod p表現のモデルとなる有限平坦代数で性質の良さそうなものを構成できた。その代数の分岐が非常に良いことを示すのが次の課題になるが、いくつかの場合において実際に良い分岐の評価が得られることを確認した。
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