2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21740077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 寛 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特任准教授 (60401262)
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Keywords | 楕円曲線 / 自己再帰 / 多細胞起源 / フィボナッチ数 / 細胞系譜 |
Research Abstract |
多細胞生物は、一つの卵細胞から様々な細胞タイプが生じる。そこでは、初期の細胞タイプ(幹細胞)は様々な中間タイプへと分化し、最終的な分化した細胞へと至る。このような細胞分化の繋がりは細胞系譜によって図式化できる。 本研究の目的は、細胞系譜において、様々な細胞タイプの増殖率・遷移率の下で生成されるパターンを調べることである。特に、そのパターンのうち多様性が最大になるものを計算した。 平成21年度においては、確率的かつ相互作用付きのリンデンマイヤー・システム(stochastic Lindenmayer system with interactions, sIL-system)上の一次元鎖状モデルを構築した。このモデルでは、細胞系譜の基本的な部分グラフである、直線状の細胞タイプの遷移A=>B=>Cと枝状の遷移A=>{B, C}を取り扱った。導出には、数式処理ソフトウェアのMathematicaとQEPCADを用いた。結果は、双有理変換などを用いながら、細胞タイプの比率と多様性指標の関係式として、楕円曲線とフィボナッチ数に関係の深い曲線を見出した。更に、細胞タイプの比率とその逆数が自然数であり、多様性の指標が有理数になる点は、楕円曲線上では2点に限られること、また、フィボナッチ数に関係した点にしか出現しないこと見出した。それ以外では、多様性の指標は二次無理数となり、自己相似パターンを示すことが分かった。このパターンは自己再帰と関係するものと考えられる。
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Research Products
(2 results)