2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 寛 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特任准教授 (60401262)
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Keywords | 楕円曲線 / 自己再帰 / 多細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、代数方程式系を活かした多細胞の自己再帰・形態形成の理解である。平成22年度においては、一細胞からの分割増殖過程を数理モデル化した。特に、昨今、再生の分子的実体として注目されているDachsous : Fat(ダッカス・ファット)ヘテロダイマ系をモデルの中に取り入れた。 最初に、一番単純なモデルとして一次元状の細胞鎖と細胞間の「ヘテロダイマ」を考えた。これらを、代数的計算にうまく適合するように、数値ではなくパラメータとして表わしているのが、本研究の特徴である。その上で、パターンを切り刻んだときでも、ヘテロダイマのパターンが再生する条件(パラメータ間の関係式)を求めた。代数的計算としては、素イデアル分解(prime ideal decomposition)を用いた。これは、代数方程式系をより(単純で)本質的な複数の解に分解する手法であり、本研究では、数式処理ソフトウェアSingularを用い高性能ワークステーション上で分解した。 その結果、細胞が分裂する際のヘテロダイマ分配率がある条件(関係式)を満たした際に、再生が起こり、しかも、ヘテロダイマのパターンが多様であることを見出すことができた。更に、この場合には、ヘテロダイマのパターン(値)が勾配をもつことも見出した。これは、従来から再生現象を説明するために提案されている「位置情報仮説」やSteepness theoryと一致する。また、モデルを2次元に拡張し、実際の実験で出現する異常な再生との関係も調べた。
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Research Products
(3 results)