2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 賢次 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40322200)
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Keywords | 非線形波動 / 分散性 / 漸近解析 / 特異摂動 / 散乱理論 |
Research Abstract |
古典的場の理論で考えられた非線形波動方程式の一種であるSkyrmeモデルとAdkins-Nappiモデルについて時間大域解の存在とその時刻無限大での漸近挙動を調べた(Geba, Rajeevとの共同研究)。これらの方程式は波動写像(シグマモデル)が空間3次元で爆発する事を回避するため考案され、全ての解が時間大域的になる事が期待されているが、波動写像と異なり非斉次かつ準線形なので偏微分方程式としての解析は遥かに難しい。我々は回転共変の対称性の下で自明解周りの時間大域的解析を行い、スケール解析から自然と思われる最小滑らかさのベゾフ空間で小さな大域解と散乱作用素を構成した。これらは漸近安定性の証明に向けての第1段階である。 2次元でのソボレフ埋蔵定理の臨界対数増大を記述する、Trudinger-Moser不等式とそれに対応する非線形波動の大域挙動について調べた(Ibrahim, Masmoudiとの共同研究)。不等式についてはMoserによる有界領域での最良不等式が有名だが全空間では成り立たない事も知られている。我々はその最良修正を見出し、非線形項に対する簡単な必要十分条件の形で示し、更にコンパクト性の破れも修正された最良非線形項に対してのみ起こる事を証明した。これを用いて、二乗指数型非線形項について基底状態ソリトンの時間周波数または質量係数に制限がつく現象について、それが起こるための必要十分条件を与え、更に係数の制限値と不等式の最良定数を対応をさせた。更に非線形クラインゴルドン方程式が質量変位により基底状態を失う場合に、本来基底状態があるはずのエネルギー準位の解の時間大域挙動を完全に決定した。 非線形波動方程式の解の時間大域挙動の分類(基底状態を若干超えるまでのエネルギー範囲における散乱、爆発、ソリトンへの分類)について、Schlag, Kriegerとの共同研究を更に進め、特にソボレフ臨界(無質量)の場合の結果を球対称で無い解にまで拡張した。証明方法は解の分解方法を含めて球対称解に対しても改良した。特に空間遠方で減衰の遅いソリトン多様体へ、通常とは異なる非直交の射影を用いる所がポイントである。 プラズマ波動を記述するザハロフ方程式系の解の大域挙動について調べた(Guoとの共同研究)。この方程式は亜音速極限で非線形シュレディンガー方程式へ移行するが、シュレディンガーと波動方程式の系になっているため、3次元で初期値問題から大域挙動を解析する事がこれまでできなかった。我々は球対称の仮定の下、エネルギー空間で小さな解が自由解へ漸近する事を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形波動の偏微分方程式の解の時空大域挙動の解析については予想以上の進展を得ている。特に、非線形積分量を用いた位相的議論と調和解析とスペクトル解析を用いた摂動的議論の相補的な結合を実現して孤立波、分散波、エネルギー集約など様々な時空挙動が混在する場合の遷移現象や解の位相的分類に成功した。しかしその中で共鳴現象の解析については関数空間における大域的な形にまで到達していない。従って全体として平均的にはおおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように共鳴現象の解析部分が相対的に遅れているのでその点に力を入れる。特に、低次非線形項、低次元、異なる分教関係のシステムでは、共鳴の解析が重要となると考えられるので、重点的に調べる。
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Research Products
(5 results)