2011 Fiscal Year Annual Research Report
パンルヴェ系の特殊解の構成と無限次元可積分系の探索
Project/Area Number |
21740126
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
増田 哲 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (00335457)
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Keywords | 数理物理 / 可積分系 / タウ函数 / 離散冪函数 / 第6パンルヴェ方程式 / 笹野系 |
Research Abstract |
本研究の目的は,パンルヴェ方程式や離散パンルヴェ方程式およびそれらの種々の一般化に対して,特殊解や対称性についての具体的な知見を積み上げつつ,それらの背後にある(あるいはあるべき)無限次元可積分系を探索し,さらにはその解空間の構造や対称性を明らかにすることである.近年,藤-鈴木系や笹野系といった高階パンルヴェ型微分方程式が提出され,アフィンワイル群対称性やモノドロミー保存変形,無限次元可積分系との関係など様々な観点から研究が進められている. 今年度は,高階パンルヴェ型微分方程式についての最近の研究の進展状況を踏まえ,それらの典型的な特殊解およびq-類似の構成に着手した.結果の概要は以下の通りである. ・BobenkoおよびPinkallにより提出された離散冪函数に対し,第6パンルヴェ方程式(PVI)の超幾何型特殊解のタウ函数を用いた明示公式を与え,それを利用して離散冪函数がはめ込みであることの必要十分条件を与えた.また副産物として,PVIのタウ函数を用いた離散Schwarzian KdV方程式の特殊解を構成した.後者の結果は,離散Schwarzian KdV方程式の種々の特殊解についての結果と併せ学術論文として4月に公刊され,前者については論文を投稿中である. ・D5(1)型笹野系と呼ばれる4階パンルヴェ型常微分方程式系のある種の有理解の構成に取り組んだ.現時点で,論文発表には至っていないものの,興味深い結果を得つつある. ・笹野系と呼ばれるD型対称性をもつ高階パンルヴェ型常微分方程式系のq-類似を構成した.現在,論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散幕函数がはめ込みであることの必要十分条件についての考察にやや時間を要したが,笹野系のq-類似の構成については先行研究の詳細な分析を踏まえ,当初の目論見よりも順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
笹野系のq-類似について,特殊解および補助線型問題の観点から考察を加え,これらの背後にある無限次元離散可積分系の探索に取り組む.特に,特殊解については,元の笹野系の特殊解および背後にある可積分系(連続系)の探索にも寄与することが期待される.
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