2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱水力学に現れる自由境界問題に対する解の制約条件を含む非線形発展方程式の可解性
Project/Area Number |
21740130
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
深尾 武史 Kyoto University of Education, 教育学部, 准教授 (00390469)
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Keywords | 非線形発展方程式 / 障害物問題 / 仮似変分不等式 |
Research Abstract |
熱水力学に現れる偏微分方程式の連立系として、空間2次元における移流項を含む非線形熱方程式とナヴィエ・ストークス方程式の連立系を考え、その可解性と大域的アトラクターの存在を考察した。温度制御の状況を記述するこの非線形熱方程式は、時間依存劣微分作用素を含む発展方程式によって記述できる。特に大域的アトラクターの存在について、制約関数が時間に依存する場合と依存しない場合のそれぞれに対応する既存の大域的アトラクターの理論が応用できた。実際、解の存在の証明で得られた一様評価に加え、大域的アトラクターの存在を保証するために必要な評価を時間区間の繰り返しによる手法で再び得なおして結論を得た。 また、流速に制約条件の入るナヴィエ・ストークス方程式について考察した。空間2次元における片側制約条件を指示関数の劣微分で表現し、まず考える問題をナヴィエ・ストークス方程式を記述する発展方程式にその項を加えた、いわゆる変分不等式の形で表現する。この単独の方程式の可解性の証明については様々な方法が考えられるが、制約条件の温度依存性を取り扱うことを想定し、まずは制約条件が時間に依存する場合、近年発表された非線形項の切断法を応用し、Hilbert空間での抽象発展方程式の理論にそって可解性を証明した。ただし、その可解性には制約関数に対しても発散が0である条件を要する。この結果を応用し、制約条件が未知関数に依存する場合についても制約関数にナヴィエ・ストークス方程式の基礎空間への射影を施した形で、温度依存制約を含むナヴィエ・ストークス方程式の解の存在を証明した。この結果は熱水力学に現れる自由境界問題において「液体領域の解釈」を与えることができる問題の第1段階となる。制約関数の発散が0という条件を取り除く問題も重要になることが分かった。
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Research Products
(6 results)