2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子常誘電体におけるコヒーレント第二音波の発生と制御
Project/Area Number |
21740218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
是枝 聡肇 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40323878)
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Keywords | 量子常誘電体 / 第二音波 / フォノン / レーザー分光 / コヒーレントフォノン / 熱伝導 / チタン酸ストロンチウム / タンタル酸カリウム |
Research Abstract |
平成22年度は、前年度から行っている広帯域・高分解能光散乱分光法に加えて、高分解能誘導ブリルアン散乱法を用いて、チタン酸ストロンチウムおよびタンタル酸カリウムにおける低周波数領域の準弾性光散乱スペクトルおよび、音響フォノンスペクトルの周波数・線幅の温度依存性を精密に測定した。前年度までの結果から、タンタル酸カリウムにおいては(後方散乱条件では)温度の波動(「第二音波」)が定義できないながらも、「第二音波の窓」と呼ばれる条件自体は定義されることが推察されていたが、本年度の結果から、この条件が成立していることをより直接的に明らかにできた。具体的には音響フォノン線幅の温度依存性が、6ケルビンという低温域においても、通常は高温域でのみ活性な「熱力学的フォノン散乱過程(Akhieser過程)」に支配されていることを見出した。この結果と前年度の結果(低温では熱拡散率が十分に大きいこと)を考え合わせることにより、タンタル酸カリウムにおける「第二音波の窓」の存在を初めて決定づけることができた。これらの成果に関してはPhysical Review B第82巻、記事番号125103にて報告した。
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Research Products
(8 results)