2009 Fiscal Year Annual Research Report
直立配向性π共役系分子結晶に発現するダビドフ励起子の光学遷移特異性
Project/Area Number |
21740223
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
阪東 一毅 Shizuoka University, 理学部, 助教 (50344867)
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Keywords | π共役系 / 有機半導体 / コオリゴマー / H会合体 / ダビドフ励起子 / ポラリトン |
Research Abstract |
近年、薄型ディスプレイなどの面発光デバイスの開発競争が激しく、特に、自発光型およびフレキシブル性などが大きな特長の有機EL材料が、他の候補を圧倒する勢いで研究開発が進行中である。特に、π共役系半導体に注目が集まっており、最近ではオリゴマー系結晶での発光トランジスタ駆動も実証されてきている。その中で(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー(TPCO)結晶群は優れた半導体特性を有することが明らかにされており、応用物理分野では急激に注目度が高くなっている。これまで、このTPCO結晶の基礎的な光学遷移について、申請者がそのほぼ全てを解明してきた。具体的には、分子配列によってダビドフ分裂した励起子遷移のうち、下枝成分について実験で特異的な光学遷移が生じることを示し、それらが分子の遷移双極子モーメントと分子配列様式から全て解釈できることを示した。一方、このモデルによると、未観測だった上枝成分の振る舞いについても同時に予想することができた。下枝に比べ非常に大きな振動子強度を持つこと、またそれがほとんどc軸に沿ったものであることである。この予想を確かめるためにバンドの高エネルギー側の光学スペクトルを詳細に調べた。これまでの結果では、その予想通り、c軸方向に沿った偏光を持つ非常に大きな吸収ピークが観測された。またこれらは結晶薄膜に対してほぼ垂直の遷移モーメントを持つことから、ポラリトン描像で解釈でき、光の入射角に依存した吸収ピークも観測された。
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