2009 Fiscal Year Annual Research Report
実空間局所磁気構造解析法によるスピネル化合物の異常磁気相関の解明
Project/Area Number |
21740239
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯久保 智 Kyushu Institute of Technology, 大学院・生命体工学研究科, 助教 (40414594)
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Keywords | 強相関電子系 / 物性実験 / 放射線、X線、粒子線 / 量子ビーム / 中性子散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、世界に先駆けてmagnetic PDFを発展・活用し、LiV_2O_4の新奇な短距離磁気相関の研究を行うことである。その目的に必要なソフトウェアの開発、データの規格化、補正に必要な予備データの測定を行い、得られたPDFを解析するのに必要な、モデルフィッティングの機能を有する解析ソフトの開発を行う。それらを用いてLiV_2O_4の重い電子的挙動と幾何学的フラストレーションとの関連性について、短距離磁気相関を調べることで明らかにする。今年度は、(1)中性子回折に必要な~10g程度のLiV_2O_4を合成、(2)東北大学から九州工業大学への異動に伴い必要となったデータ解析環境の再構築、(3)比較的合成の簡単な他のフラストレーション系であるY_2lr_2O_7を用いた予備データの取得を行った。また以下の2つのテーマについても成果を得た。(1)新規鉄系超伝導体のひとつであるFe(Se_<1-x>Te_x)_y系の磁気揺らぎに着目し、超伝導発現メカニズムに対する磁気揺らぎの役割について調べた。超伝導領域で共通の波数ベクトルを有する磁気揺らぎが観測されることを明らかにし、磁気揺らぎが超伝導に対して積極的な役割を担っている可能性を議論した。(2)状態図計算法の有限温度への展開を強力に推進する、第一原理にもとづいた比熱計算の結果を報告した。計算で得られた炭・窒化物の定圧比熱は、経験的なパラメータを一切使用しないで、3000Kという高温までの実験値を再現することを示した。本手法は準安定相を計算する際に最も重要な利点を有しており、第一原理計算に基づいた比熱計算による、有限温度の相安定性を議論することが十分可能だということを示している。
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