2009 Fiscal Year Annual Research Report
勾配を持つポテンシャル中の有限温度下秩序状態-超流動固体状態の可能性-
Project/Area Number |
21740245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 隆史 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (40444096)
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Keywords | 物性理論 / 統計力学 / 計算物理 |
Research Abstract |
超流動固体状態とは固体秩序と超流動秩序が共存する状態のことを指す。近年、光学格子上にトラップされた冷却ボーズ原子気体で超流動固体状態の可能性について精力的な研究がなされている。この系はボーズ原子を空間内に閉じ込めるために、外部からトラップポテンシャルが印加されるため、系に働く化学ポテンシャルが非均一となる特徴を持つ。本年度は、まず"勾配化学ポテンシャル効果"を明らかにするために、トラップポテンシャル中の擬2次元希薄ボーズ気体の有限温度下で現れる秩序状態の振る舞いについてProjectedPGP方程式を数値的に解くことで調べた。その結果、温度低下に伴いトラップポテンシャルの中心から超流動相が成長する。その際、常に超流動領域と常流動領域の境界が一様なポテンシャルを持つ場合と同じコスタリッツサウレス型の臨界特性を持つことがわかった。この結果は勾配ポテンシャルを持つ系の振る舞いが一様ポテンシャルを持つ系に対する局所密度近似で良く説明できることを示唆している。続いて、一軸方向のみにポテンシャルが変化する2次元ハードコアボーズモデルの場合について量子モンテカルロ法を用いて調べた。このモデルは一軸方向に勾配磁場を持つ反強磁性S=1/2XXZモデルと等価であり、これまでの研究から一様磁場中で次のような秩序状態が現れることが明らかにされている。すなわち絶対零度、零磁場下では反強磁性秩序(チェッカーボード秩序)が現れ、磁場を印加するとある臨界磁場で一次転移してスピンフロップ状態(超流動状態)が現れる。計算の結果、勾配ポテンシャルのためにあたかもチェッカーボード秩序と超流動秩序が共存するような領域が現れることがわかった。今後、繰り込み群を援用して共存領域に対する定量的な解析を行う。
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Research Products
(3 results)