2010 Fiscal Year Annual Research Report
勾配を持つポテンシャル中の有限温度下秩序状態-超流動固体状態の可能性-
Project/Area Number |
21740245
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 隆史 東京大学, 物性研究所, 助教 (40444096)
|
Keywords | 物性理論 / 統計力学 / 計算物理 |
Research Abstract |
本年度は、まず昨年度用いた有限温度下におけるProjectedPGP方程式の定量性を評価するため、一様ポテンシャル中2次元希薄ボーズ気体モデルに対する数値計算を行い、同じモデルに対する量子モンテカルロ法の結果と比較した。有限温度下におけるProjectedPGP方程式の定量性についてこれまで精密な議論がなされていなかった。比較の結果、超流動相へのコスタリッツサウレス型転移温度(Tc)を含む、1.1~1.2Tc以下の温度領域では、量子モンテカルロ計算の結果とおよそ2桁程度一致することがわかった。転移点以上の温度領域ではおよそ1.1~1.2Tcからずれが大きくなることがわかった。続いて、一軸方向のみにポテンシャルが変化する2次元ハードコアボーズモデルの場合について量子モンテカルロ法を用いて調べた。このモデルは一軸方向に勾配磁場を持つ反強磁性S=1/2XXZモデルと等価であり、これまでの研究から一様磁場中で次のような秩序状態が現れることが明らかにされている。すなわち絶対零度、零磁場下ではチェッカーボード秩序が現れ、化学ポテンシャルを加えるとある閾値で一次転移して超流動状態が現れる。計算の結果、有限サイズ効果により勾配ポテンシャルのためにあたかもチェッカーボード秩序と超流動秩序が共存するような領域が現れるが、熱力学極限では一様系と同じ一次転移を示唆する相分離がおこることがわかった。本年度は次へのステップとして長距離相互作用(ダイポール相互作用)を持つボーズ系、他成分からなるボーズ系を効率よくシミュレーションするための量子モンテカルロ法の開発を合わせて行った。開発した手法をスピン系の問題、長距離相互作用シャストリーサザランド格子上S=1/2XXZモデルの1/2磁化プラトー状態、に適用した。対応するモデル物質の実験結果と比較を行い、1/2磁化プラトー状態への有限温度転移について議論した。
|
Research Products
(13 results)