2010 Fiscal Year Annual Research Report
角度分解光電子分光によるウラン化合物の隠れた秩序状態および磁性状態の解明
Project/Area Number |
21740271
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤森 伸一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70343936)
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Keywords | 重い電子系 / 隠れた秩序 / ウラン化合物 / 光電子分光 / 放射光 |
Research Abstract |
本課題では、重い電子系ウラン化合物URu_2Si_2における隠れた秩序状態、およびウラン化合物超伝導体における磁性状態の性質を明らかにすることを目的として、角度分解光電子分光(ARPES)を用いてこれら秩序状態における電子状態の直接観測を行う。平成22年度は光電子分光装置の試料マニピュレータの改良をさらに進め、最低到達温度を昨年度までの8Kから5.5Kに改善することができた。この試料マニピュレータを利用し、反強磁性秩序を示すRhドープ系U(Ru,Rh)_2Si_2に対する軟X線角度分解光電子分光実験を行い、その電子状態がURu_2Si_2とほとんど同じであること、また反強磁性転移温度7k~10K前後で電子状態の変化が非常に小さいことを明らかにした。また、URu_2Si_2と同様に重い電子系化合物であり、強磁性と超伝導が共存するURhGeに対する軟X線角度分解光電子分光実験を行った。その電子状態を明らかにするとともに、強磁性転移(Tc=9.7K)前後における電子状態の変化を明らかにした。これらの実験は、試料マニピュレータの低温化によって初めて達成できたものである。また、URu_2Si_2を含む重い電子系に対して内殻光電子分光実験を行い、その価数状態について明らかにした。さらに今年度は、昨年度までの研究成果について論文や学会発表を通じて成果の普及を行った。論文についてはURu_2Si_2の電子状態についてはPhysical Review B、U(Ru,Rh)_2Si_2および内殻光電子分光についてはJoumal of Physical Society of Japan掲載された。また、国際会議・ワークショップ等における講演7件(内招待講演4件)を行った。
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Research Products
(10 results)