2010 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡系における界面張力:マランゴニ対流構造のダイナミクス
Project/Area Number |
21740282
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北畑 裕之 千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20378532)
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Keywords | 界面張力 / 非平衡開放系 / マランゴニ対流 / リミットサイクル振動 / 引き込み現象 / 会合体 / 界面活性剤 / 分岐 |
Research Abstract |
平衡系での界面張力の物理的な理解は、ミクロからマクロまでほぼ完成されているが、非平衡系における界面の取り扱いについてはまだ確立されていない。そのような問題にアプローチするため、界面活性剤の濃度勾配が引き起こすMarangoni対流や物質輸送に着目して研究を進めた。その結果、次に挙げるような成果が得られた。 (1)樟脳は界面活性を持ち、その粒を水面に浮かべると自発的に運動することが知られている。樟脳粒に物体をつけることにより形状が非対称になるため、その運動方向が制限される。今回、物体の大きさや形状をデザインすることにより、連続的に等速で動くだけでなく、その速度が周期的に変化する現象を見出した。 (2)上記の樟脳粒を固定し、水面に接触させるとその周りの水面の高さが周期的に振動する。この粒を2つ並べて水面に接触させると粒間の距離に応じて、その振動の位相が同期することが明らかになった。 (3)カチオン性界面活性剤の水溶液に、アニオン性界面活性剤の油溶液を液滴として置くと、界面でこぶを作りながら、変形、運動する現象が観察される。この現象に関して、2種の界面活性剤の会合体の弾性が重要であるとしてモデリングすることによりメカニズムを議論した。 (4)カチオン性界面活性剤の水溶液中で塩化金酸を還元することにより、金のナノ~マイクロメートルスケールの棒状結晶(金ナノロッド)が生成することが知られている。炭素鎖の長いオクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いることにより、溶液中での界面活性剤の構造形成と、生成される棒状結晶の形状の相関を調べた。
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