2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高森 昭光 東京大学, 地震研究所, 助教 (00372425)
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Keywords | 固体地球物理学 / 地球観測 / 光アクチュエータ |
Research Abstract |
本研究の目的は、光の輻射圧によって物体に力を加える光アクチュエータを地震計等の地球観測機器へ応用するための基礎的な開発研究を行うことである。観測機器を広範囲・高密度に展開して行うネットワーク観測の手法は基礎科学的視点や防災の観点から極めて重要であり、今後もネットワークの多点化や高密度化を進めるべきである。一方、従来個々の観測点では既存の地震計などが利用されており、必ずしも大規模なネットワークを構成するために最適化されていない。本研究では、光アクチュエータを大規模ネットワーク用観測装置を実現するための鍵となる要素技術と位置づけ、試作機の開発および評価を通じて基礎的な開発研究を行った。 当該年度には、前年度に引き続いて制御対象に輻射圧を生じさせるためのファイバレーザー光源を整備して、その強度変調度など、基本的な要素について測定を行った。また、制御対象となる磁気浮上体の設計と整備、真空槽に光を取り回すための光学系の整備を行った。その結果、当初計画していた回転地震計による観測には至らなかったものの、上記の要素を組み合わせることによって作られる磁気浮上回転体の回転運動など、比較的小さな力を要する場合の姿勢制御が可能であることを確かめることに成功した。このことは、機械的接触や温度・外部磁場と行った周辺環境によるノイズから解放された理想的な物体制御がほぼ実用レベルで可能であることを意味する。この研究結果を発展させ、より強力な光源を使用したり、制御対象をマイクロマシンのようなものに拡大することによって、輻射圧の広い応用が展開可能である。
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