2011 Fiscal Year Annual Research Report
「単一系」に立脚した磁気嵐数値モデルの開発と磁気嵐研究の新展開
Project/Area Number |
21740354
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海老原 祐輔 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (80342616)
|
Keywords | 磁気嵐 / リングカレント / 放射線帯 / シミュレーション |
Research Abstract |
地球を取り巻く放射線帯は光速に近い速度を持つ電子や陽子で構成されている。1950年代後半に放射線帯が発見されて以来、その変動については活発な議論がいまなお続いている。今年度は、サブストームと呼ばれる擾乱現象が放射線帯に及ぼす影響に着目した。これまで本研究で開発した内部磁気圏荷電粒子輸送コードとグローバル電磁流体シミュレーションを組み合わせ、太陽風から電離圏に至るまでの空間構造、ならびに放射線帯を含む内部磁気圏粒子の階層構造が一体となった系を計算機上に構築した。その結果は以下のとおりである。サブストームのオンセットとともに内部磁気圏で強まったプラズマ圧は、外側からは磁気張力に、内側からは磁気圧に押されプラズマは振動を始める。その結果電場は数分の周期で振動する。電場の振幅は大きいが、継続時間が短いため、放射線帯の中心部に対しては殆ど影響を及ぼさない。その後、西向きの電場構造とプラズマ高圧部がゆっくりと地球方向へ移動を始める。数分~10分程度の周期で地球を周回する粒子は、このゆっくりと地球方向へ移動する西向きの電場によって地球方向へ押し込まれ、同時に断熱的加速を受けるようになる。オンセット開始から約30分後、放射線帯外帯の中心部において、1MeVのエネルギーを持つ電子は外から流入した電子によって入れ替わる。サブストームは放射線帯に対して大きな影響を与えるが、従来考えられてきたような磁力線構造の双極子化で単純に説明できるものではなく、磁気圏と電離圏が結合した系における動力学を考えなければならないことが明らかとなった。
|