2009 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションを用いた造岩鉱物中拡散の素過程の解明
Project/Area Number |
21740376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 亮 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10324609)
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Keywords | 計算機シミュレーション / ペリクレース / 拡散 |
Research Abstract |
鉱物の内部組織の多くは原子の拡散によって律速されるため、鉱物中の原子の拡散機構が重要であり、古くから多くの拡散実験が行われ拡散係数が求められてきた。本研究では、コンピューターシミュレーションを用いて、拡散の素過程を原子レベルで解明し、拡散係数を推定するための基礎を確立することを目的としている。 そこで本年度はまずコンピューターシミュレーション環境を構築し、実際の計算を開始した。続いて、計算機を新たに購入し分子動力学(MD)シミュレーションの並列化計算を開始した。これにより今までよりも大規模な系による計算が可能となった。これらのシミュレーション環境を用いて、まずはcalcite, aragonite (CaCO3)とペリクレース(MgO)について計算を開始した。 Calcite, aragoniteについては電子状態計算によりポテンシャルパラメーターを導出し、このパラメーターを用いMDシミュレーションを行った。これにより分子振動など実験と再現できることを確認し、さらに種々の相転移についてその相転移機構について解明した。電子状態計算によりポテンシャルパラメーターを導出し、MDシミュレーションに用いるとの有効性を示した。 ペリクレースの空孔形成エネルギーおよび空孔活性化エネルギーについてCASTEPを用いて電子状態計算およびMDシミュレーションをそれぞれ0,300Kで行った。計算格子中にMgOをカップリングさせた空孔と格子内で最も離れた位置にMgとOの空孔をデカップリングさせた空孔とを作り、格子サイズを変化させ計算を行った結果、いずれの系においてもカップリングしたMgO空孔を持つ系のほうがMg, O空孔をデカップリングした系よりもエンタルピーが低い、すなわち安定であることが分かった。電子状態計算、分子動力学シミュレーションの結果から約0.006%の空孔濃度、すなわちMgO16384分子中1MgO分子分の空孔がある状態までは、ペリクレース中の空孔はカップリングしたMgO空孔としていると考えられる。
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Research Products
(3 results)