2009 Fiscal Year Annual Research Report
純イオンプラズマを用いたビームハロー形成過程の実験的研究
Project/Area Number |
21740400
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 清一 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (70335719)
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Keywords | イオンプラズマ / ビーム物理 / ビームハロー / 空間電荷効果 |
Research Abstract |
加速器中を伝搬するビームでは様々よな要因により,その主たるビーム(コア)の周辺に希薄なビーム(ハロー)が形成される.ハローが成長すると構造物に衝突し,これを放射化する.そのため,その発生・成長の程度を予測し,これを如何に抑制するかは重要な課題である.本課題では加速器ビームとほぼ等価な物理系であるイオンプラズマを用い,ビームハロー形成過程を実験的に研究することを目的とする. 現在使用しているイオンプラズマにおいてもハローの形成は確認されている.ただし,イオンプラズマが捕捉領域全体に広がっているため,ハローの形成を明確に観測することが難しい.そこで,本年度は「細い」イオンプラズマの生成を目指し,実験と数値計算を行った. 具体的には,二つのほぼ同じ形の線形ポールトラップを直列に接続し,一方で作ったイオンプラズマの内,中心軸付近の成分をもう一方のイオントラップに移送することで細いイオンプラズマの生成を試みた.その結果,移送時間が短ければ細いプラズマを捕捉できるが,移送時間が長くなるとプラズマは太くかることを確認した.ただし,移送時間が短いと,移送できるイオン数が減り高密度化は難しいことも分かった.従って,この方法は低密度領域の実験においては有効であると考える.しかしながら,高密度化が難しいとは言っても,現存する多くの加速器と同程度の密度はある.よってこの密度領域での実験にも充分意義はある. これとは別に,小さなイオントラップで捕捉した小さなプラズマを大きなトラップに入射することで,細いプラズマを生成する方法も検討している.現在,この手法を検証するためのイオントラップを製作中である. 最終年度となる来年度前半には引き続き細いプラズマの捕捉を試みる.その結果をふまえ,場合によっては前者の方式を採用して,ビームハロー形成過程の実験的研究を行う.
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