2010 Fiscal Year Annual Research Report
気相反応による多成分ナノクラスターの合成とその顕微鏡観察ならびに光物性の解明
Project/Area Number |
21750023
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長岡 修平 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (60509933)
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Keywords | クラスター / ソフトランディング / 質量分析 / 自己組織化単分子膜 / 水素吸着 / 表面反応 / 有機金属錯体 |
Research Abstract |
気相クラスターの新奇な機能性を利用したナノデバイスを創成するにあたり、単一組成の化学種を効率的に固体基板上へ蒸着する方法論の開拓が強く望まれており、その装置開発の一環として、本年度はクラスターイオンを高効率に透過する質量選別システムを構築した。気相合成したクラスターイオンを効率的に固体基板へ伝送するためには、クラスタービームの空間制御が極めて重要である。本研究では、四重極子を質量分析器として活用し、クラスタービーム軸に対する四重極子のアライメントを自在に制御できる真空構成機器を開発した。これにより質量選別したクラスターを高いイオン透過率で効率的に固体基板へ伝送・蒸着することを可能とした。さらに気相合成した有機金属クラスターを化学結合を介して自己組織化単分子膜上へ固定化する方法論を見出した。特にアニリン配位子と遷移金属からなるサンドイッチ錯体をカルボキシ末端単分子膜へ衝突反応させることで、強固なアミド結合を介した新規クラスター担持法を確立した。またクラスター担持基板に対して水素分子吸着特性を検証し、遷移金属-アニリンサンドイッチ錯体が約200Kの低温域において高い吸着反応性を有することが確認された。さらに吸着した水素分子は解離吸着していることと考えられ、錯体と水素分子の強い相互作用は、水素原子から遷移金属の空軌道への電荷移動に起因すると示唆された。
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