2009 Fiscal Year Annual Research Report
高密度にホウ素原子を集積した電子受容性共役分子群の創製
Project/Area Number |
21750037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吾郷 友宏 Kyoto University, 次世代開拓研究ユニット, 特定助教 (90466798)
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Keywords | 有機ホウ素化合物 / ポリボラアセン / 電子受容体 / 反芳香族分子 / ディスク状共役系 |
Research Abstract |
本研究計画では、ホウ素原子の特徴である電子受容性やルイス酸性を活用した機能性分子の開発を行う。今年度は、含ホウ素共役分子の光学特性、ルイス酸性、電子受容性を利用することで、(1)高効率アニオンセンサーの開発、(2)光機能性デンドリマーの創製、(3)新規なポリボラアセン合成反応の開発を行った。(1)優れた光吸収・発光性を有するジベンゾアザボリンに対しカチオン性官能基やホウ素置換基を導入することで、アニオン受容能や水溶性が向上することを見出し、超高感度のアニオン蛍光センシング、水中でのシアン化物イオン検出、多段階のアニオン比色分析に成功した。(2)効率的な光アンテナ機能の発現を狙い、ジベンゾアザボリンを集積した共役デンドリマーを合成したところ、低極性溶媒中においてアザボリンデンドリマーからコア部位への効率的なエネルギー移動が起き、光アンテナとして利用可能であることを確認できた。一方高極性溶媒中では、エネルギー移動ではなく電子移動が起こり電荷分離状態を形成することを見出し、アザボリンデンドリマーが既存の共役デンドリマーに比べ多様な電子励起状態を持っことが示唆された。(3)高い電子受容能が期待されるポリボラアセンの合成を目指し、最も基本的なアセンであるジボラアントラセンをモデル系として汎用的な合成反応の開発を検討したところ、新規なジボリン環の段階合成反応を見出した。今後、この方法を用いることで多様な置換基を有するジボラアントラセンの合成を検討する予定である。また、ペンタセンやヘプタセン型に伸長したジボリン誘導体の合成も検討しており、それらの前駆体であるオリゴ(フェニレン)ボリレン体の合成に成功した。今後は環骨格形成を行い、得られた含ホウ素アセン類の物性解明を進めていく予定である。さらに、合成したジボラアントラセンの高い電子受容性やルイス酸性について、実験的に明らかにすることが出来た。
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Research Products
(13 results)