2009 Fiscal Year Annual Research Report
触媒担持型マイクロリアクターの創製及びコンビナトリアル連続多段反応システムの開発
Project/Area Number |
21750091
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 雅晴 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (80361509)
|
Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / マイクロ・ナノデバイス / 連続プロセス / 酸素酸化反応 |
Research Abstract |
酸化反応は還元反応と並んで基本的で重要な官能基変換反応であり、実験室レベルだけでなく工業的にも汎用的に用いられている。現在用いられている酸化剤としては酸化クロムや二酸化マンガン、ジメチルスルホキシド、超原子価ヨウ素化合物などが挙げられるが、大量の重金属塩が副生したり悪臭や爆発の危険性を伴うなど問題点を数多く含んでおり、より安全・低環境負荷のシステムの創成が求められていた。一方ごく最近、我々は高分子に担持させた金触媒で酸素のみを酸化剤とする環境調和型酸化反応を促進させることに成功し、この触媒が繰り返し使用できることを明らかにしている。しかし、繰り返し使用するためには、反応終了後ろ過による目的物と触媒との分離、洗浄、乾燥などといった煩雑な操作が必要であり、プロセス化への妨げとなっていた。 今回、高い反応性を有するこのマイクロカプセル化金触媒をマイクロキャピラリー表面に担持する方法を新たに開発し、基質であるアルコール溶液及び酸素ガスをキャピラリーに流すことにより、フロー系での連続的酸化反応可能なシステムを創成することに成功した。触媒をキャピラリー壁面に均一に固定化することにより、基質との接触が高効率で行われるようになり、わずか1.5分の反応時間で望みの酸化反応がほぼ定量的に進行することを見いだした。また、触媒の不活性化も起こることなく、長時間にわたり使い続けることが可能であった。ガラス製キャピラリーは、束ねるだけで積層化が容易、単位体積あたりの触媒表面積が大きいことから装置の小型化が可能などの利点を有しており、本成果はマイクロ反応装置が並ぶ化学プラントの実現に大きく近づけたものと言える。
|