2010 Fiscal Year Annual Research Report
キラルエコノミーを指向した超効率的不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
21750093
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
相川 光介 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (30401532)
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Keywords | 不斉合成 / 立体選択的 / 有機合成化学 / 有機ケイ素化合物 / ヘテロ環 / ルイス酸触媒 / フラン / ピロール |
Research Abstract |
現代の有機合成化学では、光学活性化合物を立体選択的に創造できる触媒的不斉合成法の発展が必要不可欠となっている。本研究では、付加価値の高い新規触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応を開発するとともに、高い触媒回転率(基質/触媒比1,000以上)の達成を基盤とするこれまでに類のない超効率的不斉合成反応を開発することを目的とした。 今回、特に有機ケイ素化合物の物性と有機合成への適用について着目し、カチオン性パラジウム触媒と有機ケイ素化合物を用いた、新規性と実用性を併せ持つ触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応の開発を行った。フラン、ピロール、チオフェンなどのヘテロ環は、今日における医薬品や有機電子材料の開発において欠かせない骨格となっている。また、ヘテロ環はベンゼン環と異なり、容易に開環反応を起こすため、種々の骨格へと変換できる合成中間体としても有用である。しかし、ヘテロ環基質を求核剤とするカルボニル化合物を用いた不斉触媒反応は非常に限られているのが現状であった。2位にSiMe_3基を有するフラン及びピロール基質においては極めて反応性は高く、低温下において反応が進行し、高収率でほぼ光学的に純粋な生成物が得られた。またチオフェン基質においても、反応性は低下したもの、目的物が良好な収率で得られた。超効率的不斉合成反応の開発を目指し触媒量の軽減を試みたところ、0.002mol%においては、収率が46%に低下したものの高いエナンチオ選択性は維持した。この触媒回転数は23,000に達し、不斉炭素-炭素結合生成反応の中では世界最高レベルである。
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