2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機ラジカル含有ブロック共重合体の精密合成と相分離制御から見た電荷蓄積機能の展開
Project/Area Number |
21750129
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
須賀 健雄 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (10409659)
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Keywords | 高分子合成 / 機能性高分子化学 / 有機電子材料・素子 / 高分子薄膜・表面 / 高分子機能材料 / 導電機能素子 |
Research Abstract |
本研究では、電極活物質として報告してきたラジカル高分子の安定かつ迅速な電荷授受能に着目し、電解液のない乾いた、特に簡便な有機単層素子構成でメモリ特性を発現させるべく、構成部材となる機能分子の設計・精密合成と集積化、素子構成の最適化を目的としている。前年度までに、ラジカル、またはイオン対(電解質塩やイオン液体)のみを含む高分子薄膜単層素子では、電流電圧特性においてOn-Offスイッチ挙動を示さないが、ラジカルとイオン対を混合することによりメモリ特性が発現すること、相分離により形成される場がメモリ特性発現に有効であることを見出した。そこで、ミクロ相分離構造に2つの機能部位(ラジカル、イオン対)を導入した2つの系、(1)TEMPO/イオン置換ブロック共重合体、(2)汎用ブロック共重合体へのTEMPO-イオン液体の選択的集積化、を設定した。TEMPOドメイン、イオンドメインをそれぞれ形成する(1)では、主に1回書込(WORM)型のメモリ特性が現れ、セグメント比によるメモリ特性の調節は困難であった。一方、TEMPO-イオン液体をポリスチレン-b-ポリエチレンオキシド(PS-b-PEO)のPEOドメインに選択的に集積化した薄膜素子(2)では、水平ラメラ構造ではメモリ特性を示さず、垂直配向した場合はWORM型、スフィア、ランダム配向したシリンダー構造にて繰り返し書き込み可なメモリ特性を発現した。同じ構成部材でもミクロ相分離構造の違いによりメモリ特性の発現、調節の創り分けができたことは全く新しい興味深い知見である。また、本研究で見出したイオン液体をキャリアーとする機能部位のミクロ相分離構造への選択的集積化は、機能色素などへも拡張可能で、幅広い応用展開が期待できる。
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Research Products
(25 results)