2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工スパイダーシルクを目指した新規ペプチドーポリマー・ハイブリッドの開発
Project/Area Number |
21750130
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
古賀 智之 同志社大学, 理工学部, 准教授 (10388043)
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Keywords | ペプチド / 自己組織化 / スパイダーシルク / ブロックポリマー / 合成高分子 / 高次構造 / β-シート構造 / ネットワーク構造 |
Research Abstract |
本研究では、スパイダーシルクの有する優れた力学特性とその分子構造特性に着目し、人工ペプチドの自己組織化概念を合成高分子システムとハイブリッド化させるという新しい発想のもと、スパイダーシルク様ナノ構造を有する新規高分子材料の開発を進めた。本年度得られた主たる成果を以下にまとめる。 (1)中央ブロックに各種オリゴペプチド((Ala)_6,(Ala)_8,(Ala)_<12>,(GA)_4)を有し、その両端にポリアクリル酸とポリエチレングリコール(PEG)をそれぞれ導入した種々のトリブロック型ペプチド-ポリマー・ハイブリッドのフィルム状態での力学特性を評価した。自己組織的に形成されるβ-シート結晶の有無によりフィルムの強度や伸びが著しく変化することを見いだし、分子構造との相関性について明らかにすることができた。また延伸によるβ-シート結晶の配向挙動も明らかにした。高機能高分子設計のための重要な知見を得ることができた。 (2)PEGの両端にオリゴアラニン((Ala)_8,(Ala)_<10>)をそれぞれ導入したトリブロックポリマー(Ala_x-PEG-Ala_x)の合成に成功した。また、α-シクロデキストリン(CDx)をポリプロピレングリコールにより架橋したα-CDxオリゴマーを合成し、Ala_x-PEG-Ala_xと包接錯体を形成させることで可動型架橋点を有する新規スパイダーシルク様ペプチドネットワーク(PN)の調製に成功した。 (3)このPNはβ-シート構造を形成し、自己支持型の透明なフィルムを形成することがわかった。また得られた新規PNフィルムの力学特性も明らかにした。興味深いことに、このPNフィルムを一旦破断直前まで延伸すると強度が一時的に低下するが、時間経過により力学特性が回復する自己修復性を示すことが示唆された。従来に無い機能性フィルムとして今後更なる展開・応用が期待される。
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Research Products
(28 results)