2010 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素アミノ酸のペプチドナノチューブよりなる新規人工イオンチャネルの創成
Project/Area Number |
21750137
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石田 康博 独立行政法人理化学研究所, 生体模倣材料研究チーム, チームリーダー (20343113)
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Keywords | βアミノ酸 / フッ素化アミノ酸 / 不斉合成 / ペプチド / 大環状化合物 / イオンチャネル / 水素結合 / らせん |
Research Abstract |
本研究ではオリゴペプチドを基本モチーフとし、その骨格中に含フッ素βアミノ酸を導入することで、構造の単純性・機能改変の可能性・分析の容易性に優れた機能性ペプチドの開発を目指している。本研究を申請した時点で、β位にペルフルオロアルキル基を持つβアミノ酸の実践的な不斉合成法を概ね確立していた。また、昨年度の研究において、この含フッ素βアミノ酸の縮合反応の条件を最適化し、N末端およびC末端のいずれの方向においても良好な収率でペプチド結合を形成する手法を確立した。これをペプチド構造制御へと応用する端緒として、ペプチドらせん構造への導入を検討した。β-アミノ酸からなるペプチドの中でも、trans-2-アミノシクロヘキサンカルボン酸よりなるオリゴマーは、安定な3_<10>らせん構造を形成することが知られている。そこで、この6量体の一部を含フッ素アミノ酸にて置き換えた新規ペプチドを合成し、フッ素化されていない原系との2次構造の差異を精査した。その結果、極めて興味深いことに、フッ素導入によりこのらせん構造が速度論的にも熱力学的にも安定化されることが明らかとなった。これまでの含フッ素アミノ酸のペプチド工学では、主鎖から離れた位置のフッ素の効果を利用することが殆どであった。今回の結果は、適切なフッ素導入がペプチド主鎖の構造/性質を制御するための有用な新ツールであることを強く示唆するものである。
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