2010 Fiscal Year Annual Research Report
非コードデオキシリボ核酸とリボ核酸の高次構造に関する定量的研究
Project/Area Number |
21750179
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
三好 大輔 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (50388758)
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Keywords | 分子クラウディング / 非標準構造 / 高次構造 / DNA / RNA / non-coding RNA / 三重らせん構造 / ジャンクション構造 |
Research Abstract |
核酸をはじめとする生体分子は、細胞内で機能を発現するために高次構造を形成する。細胞内は生体分子が高い濃度で存在する状態を分子クラウディング状態にある。また、Mg^<2+>などの多様な金属イオンも存在する。そのため、生体分子の機能を解明するためには、このような細胞内環境を化学的に再現し、その中で検討を進めることが必要である。そこで本研究では、細胞のがん化に重要なグアニンに富んだDNAとRNAが形成する高次構造とその熱力学的安定性を、細胞内模倣環境において検討した。 その結果、グアニンに富んだDNAは、細胞内環境因子(分子クラウディングや一価金属イオン)に依存して、極めて多様な高次構造を形成するのに対し、RNAは平行型の四重らせん構造のみを形成することが示された。さらに、RNAが形成する四重らせん構造は、DNAの形成する構造よりも熱力学的に安定であることもわかった。さらに、細胞に存在する小器官によっても分子環境は大きく変化する。例えば細胞核内では、ヒストンタンパク質が極めて高濃度に存在する。ヒストンタンパク質の八量体が核酸と結合することでヌクレオソームとなり、染色体が形成される。そのため、細胞核内に存在するDNAに関しては、分子クラウディングに加えて、ヒストンタンパク質の効果も検討する必要がある。 そこで、細胞核内でDNAが形成する高次構造に関する知見を得るために、ヒストンタンパク質のDNA結合部位を模倣したヒストンペプチドを化学合成し、そのDNAの高次構造に及ぼす効果について検討した。その結果、DNAの非標準的な高次構造とヒストンペプチドが強固に結合し、さらにヒストンペプチドがDNAの高次構造を安定化することが示された。これらの結果から、細胞核内においてもDNAが多様な構造を形成する可能性が示された。
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Research Products
(25 results)